2009年7月9日
名介研 サービス提供責任者研修

「生きる事、介護すること、そして今何ができるか」
        (なぜあなたは介護職を選んだのか)


皆さん、こんにちは。今日は雨も降らなくて良かったですね。
今から拙いですが、講演をさせていただきますね。

では、最初に私のALSになったときから、社会復帰するまでの経験を短くまとめたものがありますから、1から順番に読んでもらおうかな。では、今日私の目の前に座られた、運の良い男性。

ありがとうございました。
では、2をお隣りの男性。

ありがとうございました。
では、次をその列の一番後ろの方。

ありがとうございました。
では、次を一番最後に入ってみえた白いシャツの方。

ありがとうございました。
さぁて、次は誰にしようかなぁ。
右端の一番前の方。

はい、ありがとうございました。
左端の前の方、ドキドキしてるでしょ。でも、一番後ろにしよ〜っと。

ありがとうございました。
次はトリですよ。せっかくドキドキしてもらったので、左の一番前の方。

ありがとうございました。
これが私の経験したALSです。

今は24時間介護でヘルパーさんとそのほとんどを外出しています。
日本は広いと思いますが、夜に飲みに行くALS患者は多分、私だけかな〜と思っています。それに留まらず、ミッドランドの地下街のカウンターバーで、飲んでる私を見掛けたら、ぜひ声を掛けてくださいね。それ、あきれとるの?(→妻に)
そうです、週に5回もしょっちゅうです。ちなみに昨日もホームセンターに行って、好きなものを探してました。

このように私が、人の目も気にせず、立ち直って社会復帰できたのは、何故だと思いますか?当てちゃおう。

7月生まれの方。
どうですか?

男性:環境。

そうですね。環境も大きな要因かと思いますが、それでも8割は亡くなる方を選ぶのですよ。

では、次の7月生まれの方。

男性:人の助けも環境になるんですか?

そうですね。

男性:本人の意識

そのとおり!ハワイ旅行を名介研が出して・・・くれませんよ。(笑)
そのとおり、病気を受容できなかったら、生きようなどとは思いませんよ。
なぜこんな病気になってしまったかなんて、考えていても治りませんから。
ラッキー!10万人に一人の宝くじに当たったと思って、人と違う人生を送れるよ!
と喜びを感じられたら、もうALSなんて怖くないですよ。
その辺のところを一宮保健所で講演したときの資料にありますから、今の男性の反対の隣りの方に読んでもらおー。

ありがとうございました。
でも、答えをあてられたお二人は凄いですね。
ぜひ立っていただいて。皆さん拍手をお願いします。

私は今、楽しくてしかたありませんが、ほとんどの方は、暗い一日を過ごされていますから、ここにみえる方は、参考にして、笑っている患者さんをたくさん作ってくださいね。わからなかったら、ぜひ、私に聞いてくださいね。
でも、家にはいないけどね(笑)


では、休憩の時間ですが、私の講演は3時間かかりますから、聞きたくない方とトイレの方だけ5分休憩といたします。


<休憩>


では、みなさんに2時間、哲学の時間です。普段忙しくて考えるヒマもないと思いますが、是非、大切なことなので、ヘルパーの免許をとったときに帰ってみてくださいね。
では、質問です。あなたは何故介護職を選んだのかを回答用紙に書いてください。

では、皆さん目をつむってください。恥ずかしいけど、お金のためと書いた方、
内緒にしとくから、手を挙げて。

すごいでんなー。 ゼロでっせー。

では、皆さん目を開けて。
今日一番最初に会場にみえた方にやる気満々とみて、答えてもらいましょう。

(恥ずかしがって)

2番目にしておこぉ〜っと

男性:妻が看護師であったことがキッカケ。昔、納棺師でした。
   なぜ、こんなに違うのだろうか?と思ったことが介護の職についた
   キカッケです。

すごいですねぇ。私なんて、この病気になってなかったら、自分の事だけしか考えてない人生を送っていたと思います。私は、最近常々思っていますよ。健康なのに介護職を選ぶ方はすごいなぁ〜と思っています。だって、「3K」と言われていますよね。でもって、給料は安いんですよ。それでも人の役に立ちたいと思われる皆さんは凄いですよ。
誰だって自分の地位や名誉のためだったら努力できますよ。
私もその一人でプロフィールにあったことは残しました。自分のために努力しているイチローは凄いと思いますが、皆さんの方がずっと凄いと思っています。
だって、人のために努力してるんですよ。
こんな尊い仕事はないですよね。
私は皆さんがお金に執着するのではなく、心に執着してることに凄く敬意をもっています。
皆さん、是非自分に拍手をしてあげてください。


(拍手)

皆さんは、イチローより凄い。
私も拍手いたします!!

(藤本拍手)


皆さんたまには、自分に拍手をしてあげてくださいね。
私の講義は、資料を棒読みするなんてつまらないことはしません。
けど、日曜に隣のヘルパーさんに手伝ってもらって、5時間かけて書きましたから、
帰り道や帰ってから読んでくださいね。
今、皆さんにヘルパーになったときに帰ってくださいと言いましたが、なかなか忙しくて帰ってる暇もないのが現実だと思いますが、「初心に帰れ」と言われたことはありませんか?

ない人、手を挙げて。

当てられると思ってあげてへんなぁ〜〜
なら、言われたことのある人手を挙げてください。

あてるぞ〜〜

最後に来た人。先ほどに続いて立って発表してください。
では、質問です。

初心に帰るには、いつが良いかを元旦を除いて答えて!
誕生日もあかんで!

それはいつやねん!!
初心に戻る日ですよ。

女性:今まで生きていた中で、そうですねぇ〜〜
   初心に帰る内容にもよりますが、わたしは・・・・学生ですねぇ。


ちょっとピントがずれていますね。
私も16歳の時にもどりたいわぁ。

ヘルパーの仕事についてですよ〜〜

女性:ヘルパーになろうと、勉強していたときです。
   少しずつ、気持ちに変化が起きていますから


ちょっとちがうなぁ〜〜
答えを言いますよ。

初心に帰るのは、毎朝ですよ。
分かりますか?

仕事をしていたら、なんやコイツを思うことも当然あると思います。
だから、寝たら忘れて、朝、起きたら毎日初心に戻ってください。
だって、自分が好きで選んだ仕事なのですから、毎朝ヘルパーになったその日に
気持ちは変わってくださいね。
歳をとった顔は、かわりませんけどねぇ〜

では、最後に介護職の適性について考えてみましょう。
白板を見てください。


(ヘルパー:白板に記入)

みせて〜〜
この円の中に皆さんにお配りした言葉、

情熱、心、習慣、スキル、知識

について5語ある言葉がどこに入るかを考えて、論理的にその意味を
答えてください。

ちょっと、難しいよぉ〜〜。
端の方、見えましたか?

では、今日2番に来た方、大当たり!!


(男性記入)

ブゥ〜〜

立派な考えと思いますが、正解を書きますね。



皆さんの中で、13年前にベストセラーになった「7つの習慣」を読んだことの
ある方みえますか?

そのまんまですよ。
情熱も知識もスキルも大切なことですよね。
でも、それを努力しなかったら意味がないですよね。
ですから、「習慣化」することが3つには必要ですから、
円の重なったところには、習慣が入ります。
でもね、皆さんの仕事は、「心」がなかったら意味ないでしょ。
だから、大きな心でそれらを包みこむ必要があるのですよ。

ご理解いただけましたか?

(拍手)

ありがとうございます。
では、最後の言葉に私が生きている訳を「生きる真実」としてに書いてありますから
妻に読んでもらってお開きにいたしましょう。

(妻、「生きる真実」朗読)

ありがとうございました。
こんなすばらしい時間をくださった名介研のスタッフの皆様に拍手をお願いいたします。

(拍手)

ありがとうございました。
皆さん、最後に
バイビー!!

(会場全体:(笑)と拍手!)







<質疑応答>


女性:文字盤をどうしたらそんなに早く読めるようになったのですか?
   夫婦間のやり取りはどのようにしているのですか?

妻 :名大病院の看護師から紹介され取り組みだしましたが、なかなか上手に
   焦点が合わせれず苦労しました。3日ぐらい・・・

藤本:そんなに見得をはりなさるなぁ〜〜

妻 :同じことを3回聞くと、目を閉じてしまい、険悪なムードが続きました。
   でも、彼と絶対にしゃべりたと思う人は、直ぐに出来たことがありました。
   個人差は、あると思いますが「聴く」という気持ちを持つこと。



藤本:愛してるでぇ〜


(実践)


藤本:ウソです(笑)
   恥ずかしいこと言うてもうた〜

妻 :ずっと言ってもらったことないのに・・・。

藤本:事実がばれてしもうたがなぁ
   違う〜
   言ってないことがばれてもうたぁ〜


男性:コミュニケーションを取ることで実現できたことは良くわかりました。
   健康な方でコミュニケーションを取るコツは?

藤本:難しいがなぁ〜
   意地悪かいなぁ〜

   あのね、私の意見として聞いてくださいね。

   私が、絶望の淵にいたときには、連れにもうこんな姿は見せたくないし、
   誰にも会いたくなかった。
   たとえ、それが看護師さんであってもそうだったのに、私を担当していた
   看護師さんは、毎朝、笑顔で「おはよう!」と入ってきて「昨日のさんま
   御殿、みた?」と話かけてくれるんですよ。普通にね。
   健常者も障害者もないんですよ。
   普通にしゃべりかけて、普通に笑い合える仲だったんですね。
   もし、看護師さんが私を哀れみの目で見ていたら、今日の私はいませんよ。
   ヒントは、普通に接してくださいかなぁ。
   私の経験からの言葉です。



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