2007年11月20日
中部大学 生命健康科学部 保健看護学科



皆さん、おはようございます。
素晴らしい学校ですね。ちょっと早くついたので、学食を見物してきました。
みんな恵まれていて、うらやましい。
昔の学生は、外でおにぎり食べてましたよね。
石井先生もそうだよね。
では、今日のキャストを紹介します。
私の秘書のKです。いつも私を介護くださっている、Aです。そしてマイクを持っているのが、妻の藤本友香です。そして私ですが、プロフィールを少し紹介いたしますから。皆さんお手元のプロフィールを開けてください。

今日はお気に入りのミハエルシューマッハの帽子をかぶってきましたが、せっかく中部大学に来ましたから変身しますね。どう、似合いますか? お世辞をありがとう。

では、私がこの難病になって、社会復帰を果たすまでの出来事や思いを書いた「ALS告知から社会復帰まで」を見開いてください。

今日は20日なので、20番と思ったら大間違い。11月だから、11+20=31。
31番の方。いません。おーっと。
では、20番にしとこう。ありがとう。
では次は11番の人。ありがとう。
ずっと右だから、1番前の男の子。ありがとう。
では最後に、運よく私の正面に座った子。
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
これが、私がALSを告知されて、社会復帰に至るまでの経験を短くまとめたものですが、毎日失い続けた5年間は、とても生きている気持ちになれませんでした。
何も目標が無く、毎日食事をしていて、天井の模様だけを見ている日々を想像してみてください。本当に生きていると思えますか。息をしているだけで、生きている実感はありませんでしょ。そういう私がなぜ立ち直ることが出来たのか。次のページの質問1を見てください。

学生. 周りのみんなからの協力があって、立ち直れたと思います。
    自分を支えてくれる人のため。
    支えてくれる人や周りの協力やご家族との関係で立ち直れたと思います。

ありがとね。ここポイントだからよく聞いていてね。当然妻や家族の支えが一番です。
が、私にはもう一人、私を支えてくれた方がいたのです。それは毎朝病室に、笑顔で「おはよう」と入ってくる看護師さんだったのです。その頃の私は、絶望の淵にいて、もう私は終わってしまった人間じゃないかと思っていましたが、私を担当してくれた看護師さんは、私を特別視することなく、普通に冗談を言い合って笑ったり、普通の人間として扱ってくれたのです。もし、ここで私を哀れみの目で見ていたら、私は立ち直ることは出来なかったと思います。普通に接して、笑顔を見せてくれる看護師が、私の天使だったのです。私は毎日心待ちにするようになっていました。そして、散歩を鶴舞公園でしたりして、心が晴れて行ったのです。
決して家族だけが救ってくれたわけではないのですよ。医者が病気を治すと思ったら大間違いですよ。
では、4番の子に「病気」という字を白板に書いてもらいましょう。
では問題です。病気という字はどういう意味?

学生. 病を持った気持ち。

私も一緒で身体だけじゃなくて、心も病んでしまう。正解です。気を病むって書いてあるでしょう。つまり、気を病んでいるのを救うのが君達の役目なんですよ。私は生きてる気がしなかったのを生きてる気持ちに、少しずつ変えてくれたのが看護師さんだったのですよ。
では、皆さんに問題です。
私を病気だと思う人、手を上げて。(3人)ではその理由を述べてください。

学生. まず人工呼吸器をつけてるし、介護を必要としているから。
    病気は心だけじゃなく、身体面もあると思うので。心は元気だと思うけど、
    身体的には病気だと思う。身体的にも、病名として診断されている。

なるほど・・・身体的には不自由だけど、私の正体は身体ではなく、魂が肉体に入っていることを知って下さい。私は肉体で生きているわけではありません。私という魂が肉体を動かしているし、気持ちを動かしているのです。つまり、肉体が主体ではないのですよ。私は確かに肉体は動きませんが、気持ちで、皆様の力を借りて生きてることを知ってくださいね。不自由ではあるけど、不幸ではありませんよ。
君達が現場で出たときに怪我で入院した人は、どんどん回復していくので、あまり大きく考えないと思いますが、癌の末期で告知された患者さんを想像して見て下さい。必ず気を病んで絶望の中にいるのですよ。そういう人を救うにはどうしたらいいと思いますか。さっきの3人の方、答えて。

学生.コミュニケーションをとって、心と心で会話すること。
    僕がなってないからわからないんですが、希望が与えられるように
    (何がしたいとか)
    とりあえずがんばってとは言いたくない。そういう人は頑張ってるし
    何て言ったらいいかな。難しい。

確かに難しいと思いますが、人間を癒やせるものは何かと考えてみてください。
それが質問の2番です。

@0人 A2人 B多数 C2人

これらは全て必要な要素です。でも、私の様に進行性の難病患者を癒やしてくれたのは、看護師さんの笑顔であったことを知ってください。つまり看護師さんの心が私の心を救ってくれたのです。もし心が癒やされてなかったら、私がここにいることは無かったでしょう。生きることは心が健康になることで、生きたいと思うことを知ってください。私は文献によると全ての運動神経が死滅して、呼吸が出来なくなって、死に至る。と書いてありますが、私は目標を持って生きていますよ。文献に書いてあることが全てではないのです。私のように生きられることを知ってくださいね。
では、普段私が在宅でどのように暮らしているかを2年前にニュースプラス1で放送されていますから、観てください。

ありがとうございました。
私は死んでいたかもしれませんが、妻と子供と看護師さんに支えられて生きる決断をいたしました。私はとても素晴らしい人生を生きているのです。でも、呼吸器を着けた方が幸せかというとそうではないケースもありますから、どちらが正解というものがありませんが、一つだけ言えることは、皆さんが病院などの現場に入ったときには、病気の方を特別な目で見るのではなくて、普通に笑顔をしてあげてください。その後は患者さんが決めることですから。よろしくお願いします。
そんな看護師さんになれる人、手をあげて。
よかった。約束だよ。でもね、現場は厳しいから、疲れたり、嫌になったりすることもあると思うから、そういう時は病室に入る前に一息ついて、今日のことを思い出して、患者さんの部屋に入ってくださいね。
よろしくお願いします。それでは文字板を練習しましょう。

問題「サンキュー」

3,9 (2人)
頭が純なんだから・・・

感想  数字は下に並列なので、伝わりやすかったです。


今日はつたない授業に付き合ってくれて、サンキュウ!!

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